引退発表の東京女子・角田奈穂、3・31両国で元AKB48湯本亜美とタッグ。プロレスと演劇をつなぐ二刀流の集大成!


写真提供:東京女子プロレス

 引退ロードを走るうえで団体に出した希望が、「若い子、キャリアの浅い子たちとの試合」だった。これまで実現できなかった夢のカードよりも、団体に何かを残したい、後輩たちに何かを伝えたいとの気持ちが優先なのだろう。元AKB48湯本亜美のプロレスデビュー戦は、次につなげる作業の一環と考えていい。3・31両国でおこなわれる角田&湯本組vs桐生真弥&HIMAWARI組は、角田の二刀流活動から現実のものとなる。

「(湯本とは)昨年12月に舞台で共演しているんですよ。そのとき、(湯本が出演していたテレビドラマ)『豆腐プロレス』の話が出たんですよね。そこでプロレスやってみない?となったわけではなく、私は最初、(東京女子代表の)甲田さんに話をもっていったんです。一緒に(プロレス)できたらいいなという話をして、そこで賛同してもらって亜美ちゃんに連絡をして、マネジャーさんと会社を通じてリングに上がることになりました」


写真:新井宏

 プロレスと舞台がつなぐ、角田と湯本のタッグ結成。ある意味、二刀流でやってきた彼女の集大成でもあるのだろう、

「プロレスきっかけで私を知ってくれて演劇を見に来てくれる方もいらっしゃるし、演劇からプロレスを知ってもらう方もたくさんいらっしゃいます。今回、演劇とプロレスの縁を作れたので、それこそ両方やってきた意味があると思いますね」

 アクトレスガールズでプロレスデビューした角田が東京女子に戦場を移し、プロレスへの愛がより大きくなった。トータル試合数は300超で、東京女子で200を超えた。初期の時代には俳優兼業のプロレスが非難を浴び、悩んだことも多かった。


写真:新井宏

「アクトレスのときは、むしろプロレスが嫌いになれたらどれだけいいかとさえ思っていました。試合に行く前は、もうやめたい、この試合でやめようと思ってて、いざリングに上がればやっぱり楽しい、続けたい。そんな思いの繰り返しで、続けてることが苦しかったんですよ。ケガもしたけど結局は好きでやめれらなくて、自分が続けていくにはどうしたらいいかを考えていたときに知ったのが東京女子でした。ここには私の知らないプロレスがあると、キラキラしてる選手を見て感じたんです。入ってからは知らない人ばかりで心細くもあったけど、ここのプロレスを知れたらなんて楽しいんだろうと思えたし、みんなかわいいから女性としての刺激にもなりました。ここで試合をしなかったらそれこそ遊園地プロレスとかできないし、さいたまスーパーアリーナや有明コロシアム、両国国技館のような大会場なんて経験できないと思うんです。こんなにふり幅の大きい経験をさせてもらったので、恩返ししたい気持ちしかない。東京女子には、愛しかないですね!」


写真:新井宏

 2年半ほど前だろうか、彼女に話を聞いたとき、「東京女子は私にとって最後の場所。ここを去るのは引退するとき。プロレスと舞台、やめるときは両方やめますね」との話があった。時が経ち、あのときのコメントを伝えると、「ハイ、そこは一度もブレてないです(笑)」。プロレスと舞台を両立させ、やめるときは両方とも。その思いは変わらずやってきた。この一貫性が、かつては普通過ぎると揶揄された彼女にとって最大の個性となったのではないか。

 引退は、アクトレスガールズ時代の同期にも伝えた。実際、先に同期の仲間で集まり、その足で引退の意志を団体に伝えたという。いまでは女子プロ界のトップで活躍する同期の仲間。角田には大きな実績こそないものの、役割はまっとうできたと考えている。というのも、角田は角田で最初は公務員となる夢を実現させ、その夢で挫折を味わった。そこから新しい夢を見つけ、プロレスと舞台を両立させてきた。そしてまた、新しい夢に踏み出そうとしているのだ。だから夢はひとつじゃない。その先にもまた夢があるというのが、プロレスを通して伝えたいメッセージだ。「引退を実感し始めて、たまに寂しくなりますよ」と言う彼女だが、7月のラストファイトまで、大好きな東京女子にプロレスへの愛を注いでいく。


写真:新井宏

インタビュアー:新井宏

▼WEEKEND女子プロレス(バックナンバー)
https://proresu-today.com/archives/tag/weekend%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%82%B9/

➡次ページ(写真ギャラリー)へ続く

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加

Pages 1 2 3