【wave】炎華デビューから1年:プロレスラーになるための大学受験、田中きずながモチベーション


写真:新井宏

 23年1月、正式に練習生となった。大学合格によって本格的にレスラーへの道がスタートしたのである。プロレスラーになるための大学受験。そこにはもうひとつのモチベーションがあった。同期きずなの存在である。話は22年8月、夏休みを使って初めて練習に参加した日にさかのぼる。

「自分はwaveが好きで、GAMIさんにも『waveに入りたい入りたい』とずっとお伝えしていたんですね。そこから一度練習に参加したんですが、このときに初めてきずなに会ったんですよ。きずなのことは知ってました。きずなが入門するという会見(22年4月14日)を見てましたから。私、その時点でクソー!ってなったんです。自分なんて全然一般人ですけど、悔しいと思っちゃって。しかも、かわいいですし(苦笑)。ホンモノを見て、かわいい!が第一印象でした。そのとき同い年だとも知ったんですけど、練習に対する熱量とかマジメさとか、ハキハキしてる受け答えとかに圧倒された自分がいて、実際、最初は嫉妬もありました。そこで自分もがんばらなきゃと思いましたね。その日、練習終わってから一緒に帰ったんですよ。一緒に写真撮ったりとか、『仲良くなれたらうれしいですね』ってお互いが敬語で話して、かわいいなと思いながらもLINE交換して徐々に話すようになって、そこから何回か遊んだりもしました。そのときに自分が受験合格したら一緒にプロレスができるという話をしたら、きずなもそう思ってくれてて、それが受験のモチベーションになったりしました。なので、きずなに感謝ですね(笑)」


写真提供:プロレスリングwave

 そして2人は、waveで練習をともにする。まずは23年2月5日、きずなが公開プロテストで合格。このときの様子を彼女は会場の片隅から見守っていた。

「自分が受験の期間もずっとがんばってたきずなの努力を知っていたり聞いたりもしていたので、合格になったときは自分もうれしくて、号泣しながら見てました」

 その後、3月1日には彼女もプロテストに合格。リングネームは炎華となった。これは自分自身でつけたリングネーム。マスクは予想外だったが、あこがれのHIRO’eを受け継ぐように、イメージカラーがオレンジとなった。

そして、4・2新宿できずなと炎華が同時デビュー。しかも両者によるシングルマッチだ。そのうえ、あとから入門の炎華が勝利。両親の遺伝子を引き継ぐ2世レスラーからの白星だけに、大きなインパクトを残した初勝利と言っていい。

「勝ったのも自分でビックリというか、勝ってうれしいし練習してきた技で決められたのもうれしかったですけど、一番はホッとしたというか、悔しい部分もたくさんありながら、プロレスラーになれたうれしさがありましたね」


写真提供:プロレスリングwave

 きずなとは切磋琢磨する関係になった。組んでは12・24川崎でwave認定タッグ王座もゲットし初戴冠。一度も防衛することなく手放してしまったものの、きずな&炎華のチームでもう一度手に入れるという目標ができたのだ。そして、先日の4・3新宿でデビュー1年。Marvelous桃野美桜とのシングルマッチは、初マットから86戦目。1年で86試合は、なかなかのペースと言えそうだ。

「え、そんなにやってるんですか!? うれしい! デビューしたての頃はプロレスってこんなにも大変なんだとか、試合って見てわかる通り痛いんですよ(苦笑)。でも、この一年間でたくさんいろんな経験をさせていただいて、いまでもいっぱいいっぱいですけど、そのなかでさらにプロレスってすごいと思えたし、プロレスがもっと大好きになりました。いま、プロレスが楽しい!と心の底から思えてる状態です」

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