【天龍源一郎 魂の独白】<第5回>栄光の『プロレス大賞MVP』、逆境の『SWS』、人間『馬場と猪木』「誰かが、どこかで、あんたのことを見ている」


<写真提供:伊藤ミチタカ氏>

■WAR設立と全面対抗戦「飛ばされたくない奴は、一生懸命やるんだよ」

―― SWSは崩壊し、その後WARを設立。そして、新日本プロレスとの全面対抗戦へと突き進んでいきます。この時期は、まさに天龍さんの真骨頂が発揮された時代でした。

天龍: 団体対抗戦っていうのは、いつの時代もお客さんが一番見たいものだからね。

―― 全日本時代からWAR時代にかけて、天龍さんはスタン・ハンセン、ハルク・ホーガン、ランディ・サベージといった数々のトップ外国人レスラーと名勝負を生み出してこられました。その理由は、どこにあるとお考えですか?

天龍: リングの中に、嘘がなかったからだと思うよ。これは日本人相手でも外国人相手でも同じことだよ。外国人レスラーだって、バカじゃない。日本という、世界でも有数の「おいしい稼ぎ場所」を、下手な試合をして失いたくはないんだよ。だから、こっちが本気で、真正面からぶつかっていけば、彼らも必ずそれに応えてくれる。

―― しかし、「外国人に怪我をさせてはいけない」と、どこか遠慮してしまうレスラーも多いと聞きます。

天龍: それは、自分に対する言い訳だよ。自分が本気でぶつかるのが怖いから、「外人だから」って理由をつけて逃げているだけだ。考えてもみろよ。ホーガンだって、ハンセンだって、みんな自分のいる団体から「飛ばされたくない」から、日本でも一生懸命やっていたじゃないか。馬場さんだって、ハンセンに負けたら「馬場も落ちたな」って言われるのが嫌だから、必死で闘っていた。あれが、東京スポーツのプロレス大賞を獲ったベストバウトだよ。そこに、日本人だとか、外国人だとか、そんな垣根は一切ない。みんな、自分のプライドを懸けて闘っている。その本質に気づかないから、つまらない試合になるんだよ。

 

■人間・馬場と猪木「玄人好みするすごさ」と「大きな包容力」

―― キャリアを語る上で、やはりジャイアント馬場さん、アントニオ猪木さんという二人の存在は欠かせません。レスラーとしてだけでなく、人間としての二人の違いを、天龍さんはどのように見ていましたか?

天龍: 馬場さんは、良くも悪くも繊細な人だったね。「自分のプライドを傷つけられた」と感じたことを、いつまでも根に持つようなところがあった。特にマスコミに対しては、自分が真っ当に付き合っているのに、面白おかしく書かれるのが許せなかったんだろう。だから最初から分厚いバリケードを張っていた。それは、馬場さんという人間の性格がなせる業だったと思うよ。

―― 一方、猪木さんはいかがでしたか?

天龍: 猪木さんは、そんなちっちゃいことはまったく気にしない人だった。俺が東京ドームで猪木さんに勝って、いわば“勝ち逃げ”したような形になったけど、引退した後こっちから「対談をお願いします」って申し込んだことがあるんだ。普通なら、「ふざけるな!」って一蹴されてもおかしくないだろ?でも猪木さんは、「いいよ」って二つ返事で受けてくれた。あの時は、本当にびっくりしたよ。「この人は、なんて器の大きい人なんだ」って。あれが、アントニオ猪木の持つ包容力であり、多くの人を惹きつける魅力の正体なんだろうな。

―― 天龍さんが憧れたのは、どちらですか?

天龍: パッと見て、「ああなりたい」って憧れるのは、やっぱり猪木さんだよね。分かりやすい華があるし、常に世間と闘っているっていうスケールの大きさがある。馬場さんのすごさは、長く付き合わないと分からない、玄人好みするすごさだね。そういう意味では、俺はずっと猪木さんを真似しようとしていたのかもしれないな。どこかでその大きさに憧れていたんだよ。

インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)

▼“ミスター・プロレス” 天龍源一郎

【天龍源一郎 魂の独白】<第1回>引退後の10年、家族、そして聖地・後楽園に刻んだ革命の記憶「真正面からプロレスと向き合ってきて、本当に良かった」
https://proresu-today.com/archives/279542/

【天龍源一郎 魂の独白】<第2回>11.4聖地決戦へ“ミスター・プロレス”から魂の提言「お前たちの厳しい目と熱い心で支え続けていってほしい」
https://proresu-today.com/archives/279544/

【天龍源一郎 魂の独白】<第3回>BI砲からの勝利、貫いた真正直なファイト「泥を塗るような生き方はしてこなかったなっていう、安堵の気持ちだね」
https://proresu-today.com/archives/280167/

【天龍源一郎 魂の独白】<第4回>ブロディに教わった“プロレスラーの矜持”、長州が壊した“固定観念”、ファンクスに抱いた“憧れ”「あいつらに負けていられない」
https://proresu-today.com/archives/280169/

【天龍源一郎 魂の独白】<第5回>栄光の『プロレス大賞MVP』、逆境の『SWS』、人間『馬場と猪木』「誰かが、どこかで、あんたのことを見ている」
https://proresu-today.com/archives/280171/

【天龍源一郎 魂の独白】<第6回>ミスター・プロレスが11.4に託す“最後の後楽園”「俺の魂を感じたい奴は、後楽園に来ればいい」
https://proresu-today.com/archives/280174/

 

▼天龍プロジェクト 嶋田紋奈代表

【天龍プロジェクト】代表・嶋田紋奈が背負った15年の覚悟「父であり、天龍源一郎という一人の人間を守りたかった」
https://proresu-today.com/archives/279676/

【天龍プロジェクト】11.4『最後の後楽園』、代表・嶋田紋奈が描く未来図「天龍源一郎から連なる何かを、絶対に絶やさないこと」
https://proresu-today.com/archives/279682/

【大会概要】
大会名:天龍源一郎 引退10周年記念興行~革命飛翔~
開催日:2025年11月4日(火)時間:開場17:30/開始18:30
会場:東京・後楽園ホール

<全対戦カード>

▼メインイベント スペシャルタッグマッチ
鷹木信悟&拳剛 vs 岩本煌史&海野翔太

▼6人タッグマッチ
越中詩郎&諏訪魔&佐藤光留 vs 鈴木みのる&真霜拳號&進祐哉

▼スペシャルシングルマッチ
矢野啓太 vs ザック・セイバーJr.

▼ミックスドタッグマッチ
DASH・チサコ&雪妃真矢&政岡純 vs 松本浩代&笹村あやめ&岩崎孝樹

▼タッグマッチ
佐藤耕平&永尾颯樹 vs 河野真幸&吉田和正

▼8人タッグマッチ
新井健一郎&レイパロマ&神谷英慶&渡瀬瑞基
vs
“brother”YASSHI&入江茂弘&SUSHI&本田アユム

▼3WAYマッチ
谷嵜なおき vs 児玉裕輔 vs 仁木琢郎

Pages 1 2 3

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加