【プロレスのある風景 Vol.33|榎本タイキ】
方舟の新しい風景と変わらぬ意思
「新生ノア」という言葉とともに3.10横浜文化体育館大会から新たな体勢を打ち出したプロレスリング・ノア。イメージカラーだったグリーンのマットとロゴもリニューアル。
まるで新団体が誕生するかのような改革に僕自身胸が躍りました。若い選手が台頭してきていることもグッドタイミングな印象を受けます。
メインではこの変革を象徴する若きチャンピオン・清宮海斗選手と、設立からずっと方舟を全身全霊で牽引してきたまさに“ミスター・ノア”丸藤正道選手によるGHCヘビーのベルトを賭けた一騎打ち。
キャリア、技術、プロレス頭、すべてが百戦錬磨の丸藤選手。この試合でもその強さが怖いほど発揮されました。正直観てる側としては「どうやったらこんな強い選手を倒せるんだろう?」と何度も頭に思い浮かびました。
圧倒される場面が多い中、前哨戦での経験やこのタイトルマッチに向けて準備してきた技と戦法で苦戦の末、ついに必殺のタイガー・スープレックスで丸藤選手から3カウントを奪いました。
憧れの三沢光晴さんが使っていたイメージカラーであるグリーンのコスチュームをまとい、同じく三沢さんの必殺技タイガー・スープレックスをフィニッシュホールドにしている清宮選手。
三沢選手の思いを胸に秘めながらこれからは清宮選手のグリーン、清宮選手のタイガー・スプレックスとなっていけばいいとすごく感じました。『脱・三沢』の真の意味を体現しているニューヒーローだと思います。
そしてすごく僕が心に残ったシーンが全試合終了後、新ロゴがプリントされホワイトカラーになったリングにグリーンのライトが当てられ、以前のノアマットの雰囲気を作り出した場面でした。
しっかり三沢さんが作り出した団体の意思を引き継ぎ、新しく飛躍する姿勢を感じさせてくれた素晴らしい演出でした。