坂井永年氏が語る「新日本プロレス21年ぶりの福岡PayPayドーム大会」ポスター制作秘話!

「プロレスTODAY」で「ザッツ・絵んたぁテインメント!」を連載中のイラストレーター・坂井永年氏が19日、プロレスTODAY編集部に来社。

新日本プロレスが21年ぶりに開催する5月1日(日)福岡PayPayドーム大会のポスター制作秘話や、現在福岡で開催中の新日本プロレス50周年イベントで坂井氏の作品の数々が並ぶ「シンニチイズム」についてプロレス愛あふれる作品の秘密を明かしてくれた。

①新日本プロレス5月1日(日)福岡PayPayドーム大会のポスター制作秘話

ーー今回も素晴らしいポスターが仕上がりました。

坂井 頑張りました。

ーー今回はどのようなイメージで作成されたのですか?

坂井 新日本プロレスさんの仕事に復帰してからは毎年ご依頼を受けて制作していて毎回お任せで描かせてもらっているのですが、今回は初めて第1回のどんたくのリメイク版をリクエストされました。当時のポスターの猪木さんの位置にオカダ選手をという感じで。

ーーその時はどういう風に思われましたか?

坂井 元々自分の中ではどんたくは福岡ドームの大会イメージがあったので、いつか復活するという考えはあったんですね。実際、菅林会長に5,6年前に話を聞いていつでも福岡ドームは開催できると聞いていたので、あとはタイミングだと思っていたので自分の中でも構想は温めていたんです。ドームが復活の時には屋根を背景に入れたポスターにしようとは思ってたんです。

ーー構想はすでに頭の中にはあったと言う事ですね。

坂井 レスラーの人選だけは新日本プロレスさんから毎回あるんです。レスラーの顔ぶれだけ変えただけで昔と同じようなものは自分としてはあまり面白くないんでね。

ーーリメイクよりも進化バージョンにしたい?

坂井 そうですね、まずはオカダ選手を真ん中に添えて94年の第2回どんたくのポスターで猪木さんがガウンを開いてポーズを取っていたのをヒントにオカダ選手も同じようにしたんです。それだけじゃなくて真ん中で藤波さんがドラゴンスリーパーをかけている絵をタイチ選手にあてがえて配置してみたり、当時の橋本真也選手のジャンピングDDTを描いた位置には同じジャンプして落とす系の技のヒロム選手のTIME BOMBという風に意識して描いてみました。

ーー構図の作り方は普段どういう風に意識して描いているのですか?

坂井 誰を主役にするかがまずあって、その人をメインにどう配置するか。だいたいチームだったり軍団だったりするんですけど、それ以外にそのレスラーの注目度と全身まで入れたいレスラーとバストアップを描くレスラーとか、とにかく写真を色々と見てその中から決めていく感じですね。

ーー先に写真を団体から提供されてそれを見て決めていく感じなのですね。

坂井 今年は大量の写真を送られてきたので結構大変でしたが、これはこれでいいものが出来上がりました。

ーー各選手の特長をいつも上手く捉えていらっしゃいます。今回はオーカーン選手やオスプレイ選手、SANADA選手も抜群の配置ですね。

坂井 今回は背景に屋根(天井)を描くもので上部は飛び技を描きました。SANADA選手は最近試合観ていると筋肉や身体が武藤選手そっくりになって来ているなと感じます。動きも結構似ているなと、それでムーンサルト…ラウンディングボディプレスを入れました!

ーーなるほど。選手自身の人気や実力が上がるとポスターにも位置が変わったり反映されたりしている印象です。

坂井 そうですね、あとは団体からもこの選手を入れてくださいという要望があります。その年の注目度だったり、この選手を坂井の絵にしてあげてほしいという団体からの温情もあったりするんですよ。昨年からはタイチ選手やデスペラード選手が入ったりしています。

ーー試合には出るけどポスターには載らない、つまり選ばれし者がポスターには反映されているなと言う印象です。

坂井 そうですね。

ーー大会ロゴも坂井先生が制作されているのですね。

坂井 このロゴも毎年アレンジしていて、2年前にコロナで中止になってから普段ではやらないですが風水でラッキーカラーを調べて描くようにしているんですよ。今年はワインカラーを入れたりしています。

ーー普段ではやらない事をゲン担ぎの意味でもやってるのですね。

 

②ポスター制作で時代の変遷がわかる

ーーポスターを制作する中で時代の変遷を感じる事はありますか?

坂井 選手がこういう人が出てきたなぁという印象はもちろんありますけど、この人どういう風に描こうかなぁとか、1年目に描く時よりも次に描く時の方が描きやすくなるというのはありますね。だんだんと選手の特長も分かってくると違いますね。

ーー特徴をつかむまでの時間はかかりますよね。

坂井 自分の中ではこの人はこうだああだと考えながらやってますね。

ーーやはり新日本プロレスを見続けているから描けているんですね。

坂井 そうですね。90年代も観てましたけど、あの頃の仕事は子供のころに見ていた財産で出来たと思ってます。

ーー当時の財産がその時の仕事に活きていたんだと。

坂井 自分でもわかんないんですけど、よくピタッとはまったなと。

ーーそれだけ一般層にも響いてたと言う事なんでしょうね。

坂井 まず「一般の人にウケるもの」を心掛けましたから!

 

③新日本プロレス50周年イベント『シンニチイズム』で坂井永年作品集が多数展示

ーー新日本プロレス50周年イベントの『シンニチイズム』で坂井先生の作品が一堂に展示されました。

坂井 ありがたいですね。

ーー個人的には夢の空間でした。

坂井 あんなに受けるとは思ってなかったんです。一番嬉しかったのは新日本プロレス50周年の歴史の中で元レスラーの方や社員の方、沢山の方がいらっしゃる中で自分の作品が歴史の1ページを飾らせて頂けるのは感謝しかなかったですね。これだけお客さんに受けたのは嬉しかったですね。

ーー新日本プロレスの歴史と共に歩んできた多くの日本人レスラーや強豪外国人レスラーを描いた作品の数々が、今に繋がっていることが歴史ですね。坂井先生の作品が今でも色あせないで輝き続けるというのは本当に凄い事です。

坂井 ありがとうございます。野球の作品でも言ってもらえるんですけど、動かない絵なんだけど動いているように見えるってそういう風に言ってくれる方もいるんですよね。

ーー自分としてはそれが坂井ワールドだと思います。『シンニチイズム』の展示作品も全部欲しいものばかりでした(笑)

坂井 『シンニチイズム』では60点の作品が展示されてました。自分の個展やった時よりも数が多く、上手く配置してくれて何面も使ってくれてあれは嬉しかったですね。ずっとあの会場に居たい…住みたいと思いました(笑)

ーー自分も取材が終わった後、プライベートでもう1周してしまいました。

坂井 私の知り合いの落語家さんが名古屋会場を見に行った時に人だかりができていたそうで、そういう話を聞くと嬉しいですね。

▼参照:新日本プロレス50周年記念エキシビション「シンニチイズム」へ潜入取材!
https://proresu-today.com/archives/182314

 

④プロレス界以外でも坂井氏の作品を愛する著名人からの仕事オファー

ーーそしてプロレスファンに数多く愛される坂井先生の作品は、プロレス界にとどまらず芸能界からも当社にオファーが届きました。

【氣志團×SiM×坂井永年】コラボTシャツ「Threesome」

 

坂井 ありがたいですね。

ーー今回はなんと氣志團の綾小路翔團長から直々のご指名でした。

坂井 嬉しいですよね。

ーープロレス界にとどまらない愛されるイラスト作品です。

坂井 実は自分の友人の知人という人で氣志團が大好きな人がいて、全サイズ購入してくれたみたいでありがたいですね。

ーーそうなんですか、スゴイ!

坂井 他の方からもメッセンジャーで売り切れたからなのか買いたいんですがと自分に連絡が来たりしました。

ーーアーティスト自体が坂井作品のファンだと言う事が、その方のファンにも伝わるのが良いですね。

 

そしてこの日に着てきたジャンパーは坂井氏がデザインした第1回のどんたく大会のスタッフジャンパー。坂口征二相談役もお気に入りという大会ロゴにも強い思い入れがあるどんたく大会がいよいよ間近に迫って来た。

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<インタビュアー:プロレスTODAY総監督 山口義徳>

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