【スターダム原田克彦社長インタビュー】団体経営、今後のビッグマッチ、国内戦略&海外戦略、新日本とスターダムの違いを語る

日本の女子プロレス界をけん引し、現在躍進を遂げているスターダムを運営している(株)ブシロードファイトの代表である原田克彦社長に独占インタビューを実施。

団体経営や今後のビッグマッチ、国内戦略&海外戦略、マ-ケットの市場予測、新日本プロレスとスターダムの社長を務めた原田社長にしか語れない経営の違いなど、多岐に渡る質問を行った。

後半では、原田社長の大事にしている経営哲学や経営者としてプロレスビジネスの面白さについても答えてもらった。

➀スターダム躍進について

――スターダムはコロナ禍でも躍進してきた唯一といっていいほどの団体ですが、この躍進については今どのようにお感じでしょうか?

我々もまだまだ探り探りやってきている状況です。女子プロレスは全女(全日本女子プロレス)が解散以降、厳しい時代が長く続いてきましたが今やっと少し陽があたってきたかなという状態。でも全盛期と比較して今はどうなのかなと思ったりします。4年前にどの女子団体と一緒にやっていくかとなったときに、何団体か候補が上がったのですが、検討を重ねて(ロッシー)小川さんのところでとなりました。選手の待遇やスタッフ等運営面の充実、プロモーション面への投資をしていけば伸びるだろうという予測もちゃんと立てた上ですが。あと最も重要な世の中の背景やニーズを感じとることができたことも良かったと思います。女性の社会的地位向上というか、女子パワーが高まってきているというトレンドがより強まってきていたので、いけるだろうなという感触はありました。

――なるほど。確かにスターダムは現在すごい勢いを感じます。

いやいや、そうはいってもまだまだですよ。

――謙遜されますが、ブシロードファイトにグループ入りしてからは相当に飛躍されてますし、選手も増えてとても華やかなリングになりました。

そこはやはり女子プロレスのセールスポイントというか、華やかさをより一層追求していくことによってファンがついてきてくれるだろうと確信を持っていましたからね。しっかりとそこに投資して、華やかで映える選手、舞台、音楽など見せ方の部分に特に力を入れていくことをやってきましたね。それがみなさんに少なからず受け入れられたのだろうと思っています。

――見せ方の部分に力を入れられたということですが、本当にプロレスをしっかり見せるというところでも

そうですね。我々も事業運営に入った当初は、リング上の試合より試合後の売店でのグッズ販売や写真撮影の方に時間を取られていた感じがしたんですよね。そういう世界なのかな…とも思いましたけど、本分であるプロレスを魅せられてないなと思いました。当時のファンの方達はそういうものを求めていたかもしれないですし、団体として生き残っていくためには必要な手段だったのかもしれないですが、これでいいのかな?と。このままだと存続することはできても発展はしていかないだろうし、女子プロレスというジャンルにブランド力をつけるためにはこういった状況は変えていかなくてはいけないなと率直に思いました。

――女子プロレスは男子プロレスと違った、また特有の世界観がありました。

売店もそうですし、チケットの売り方とかもそうですよね。まだ選手が手売りをしていたのでファンの方との距離があまりにも近く、個々の選手のブランディングができないという環境ではありましたね。その距離感を好んでいたファンの方々も結構いらっしゃったかもしれませんが、選手の価値を向上させることがスターダムという団体の成長につながると信じて我々が考えたビジネスモデルに沿ってやっていこうと思いました。

――女子プロレスのリブランディングが本当にうまくハマったのかなと思います。

うん、そこはもう本当に意識しながらやってきましたね。

 

➁今後のビッグマッチについて

――現在スターダムさんは大きな会場での大会も多く開催されていますが、今後のビッグマッチについてはどのようにされていくおつもりでしょうか?

今、ビッグマッチは月1回から2回くらいやっています。新日本プロレスのようにシリーズごとに地方を回って、最後に両国国技館、武道館などのメガ会場で締めのビッグマッチを開催するという興行日程を作っていくのがベストかなと考えていますが、そこまで調整しきれていないのが現状ですね。ただ、まだ大会日程の入れ方にはちぐはぐな面はありますが、ビッグマッチに向けて選手、スタッフ全員が良いものを見せられるよう各々の仕事をしていこうという意識は強いです。

――会場押さえるのは結構前からやらないといけないかと思うのですが、大きな会場を押さえるときの決断って相当の判断が必要じゃないですか?

年間ベースで売上利益の計画をたてていくと、おのずとここでこういうビッグマッチはどうだろうと案が出てくるんですよね。タイミングさえよければそこで押さえようというような感じですね。

――なるほど。では先に会場ありきで、大会を盛り上げていくような施策を打っていくと。

そうですね。

――そうなると、そこに向けて選手の士気も上がりますね。

上がりますね。そこに向けてのマッチメイクを検討していくにつれ選手たちの意識が変わってきます。最近は大箱やりすぎて、ストーリーが雑になってきているというご意見をいただくこともあります。一方、お祭感が出て気分が高まるという方もいらっしゃる。多様なご意見があるのはファンの方々が興味を示してくれているということなので、自分たちの成長曲線を信じてやっていこうと思っています。

――上場会社なので、やはり1年の予算というものが前もって決まっているかと思いますが、それに合わせていくのも大変じゃないですか?

そうですね。上場企業は株主に向けて正確な業績計画をディスクローズしていくことが最重要事項でもあります。ですので、予算も無理のあるものを作成しているわけではなく、それなりに理由や根拠に基づいた数字となっています。当然ながら目標設定の意味合いもあるので努力部分を上乗せすることもありますが、全くもって不可能な数字を追い求めているというわけではないです。そこに合わせて会場を押さえ大会を開催するだけでなく、オンライングッズの企画販売、映像制作、芸能や企業協賛も含めた興行関連以外の案件を手掛けたりとか、様々なビジネス活動をしています。ここに関してはジャンルや過去に縛られることなく多くのことに柔軟に挑戦していこうと思っています。

――そういう柔軟さが、今の飛躍に繋がってるわけですね。

そうであると信じてます。

 

⇒次ページ(2023年の国内戦略、海外戦略・マ-ケット市場予測

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加

Pages 1 2 3