【DDT】12.24後楽園で復帰する“DDTバラエティー班長”大鷲透「混とんとした試合をうまく交通整理したい」

フリーランスの立場ながら、DDTプロレスには欠かせない男・大鷲透がついに戻ってくる。

大鷲は7月23日、東京・両国国技館大会で頚椎損傷の負傷を負い長期欠場していたが、12月24日、東京・後楽園ホールで待望の復帰戦を行う。同大会で大鷲は「アイアンマンヘビーメタル級選手権バトルロイヤル」に参戦。出場選手は現王者がグレート・コジ(タイトルの性質上、同大会までに陥落している可能性あり)、挑戦者が大鷲、高木三四郎、平田一喜、彰人、岡田佑介、石田有輝、須見和馬、瑠希也、X(公募枠)の9選手。そこで復帰を控えた大鷲に、その胸の内を聞いた。

――首のケガはどういう状況だったのですか?

「最初、両国で首に負荷がかかって、瞬間、右手、両足に力が入らなかったんです。まずい状態だと思ったんですけど、5分も経たないうちに感覚が戻ってきて立てるようになって。手も動くようになって大丈夫かなと思って、試合後の売店にも普通に立ってましたし、歩いて家まで帰りました。ただ念のため、検査したほうがいいと言われて、CTを撮ってみたら、首の第7頚椎の突起骨が完全に折れてて。頚椎損傷とは首のケガの総称なんです。実はその後の週末の試合も出ようと思ってたんですけど、2週間は絶対安静。ちょっとでも骨が動いたら、手術の可能性もあるし、さらに固定しないといけない可能性もあるから、2週間は動いちゃいけないと。それで首を固定して、寝たきりの生活でした。そこから不幸中の幸いで、ずれてなかったんで、折れた骨がそのままくっつけば完全に治ると言われて。若い人だと2ヵ月くらいで骨がつくと言われて、私もそこそこ年を取ってるんで。あとプロレスという激しいコンタクトスポーツなので、完全に骨がくっついてから、プラス1ヵ月見ましょうという話を当初からされてました。今回は完全な状態で12・24の復帰戦を迎えられると思います」

――5ヵ月欠場して、どういう思いでしたか?

「自分のキャリアは2000年にメキシコでデビューして、23年なんです。細かいケガはあって、肩鎖関節脱臼、ヒザのじん帯を伸ばしたり、尿管結石になったりはあったんだけど、数週間で治るケガだったんです。でも数ヵ月のケガとなると今までしたことなくて、もういい年なんでいろんな部分で不安はありました」

――療養期間には大鷲選手の主催で「やまいきフリーマーケット」というイベントも開催されましたが、これはどういったものでしたか?

「23年のキャリアのなかで、こんなに大きなケガはしたことがなかった。いつ復帰できるか分からないけど、欠場期間のなかで、自分でできることはないかなと考えたときに、DDT内に欠場選手が多かったんです。それで欠場選手を集めてチャリティーじゃないですけど、欠場者を救済するようなイベントを立ち上げられないかと考えたのがきっかけです。
ケガ人救済と言うと重いイメージで、何かキャッチ―な言葉はないかと。相撲用語でケガするのは“やまいく”。プロレス業界にも伝わってるんで、ケガした人たちが集まったフリーマーケット『やまいきフリマ』という名称になりました。団体は関係なく、ケガしてる人たちの救済になればと。何よりファンの人達に直接応援してもらえる機会をつくれると思って。
第1回は10月24日に新宿FACEで、会場のご厚意で貸していただいて、111人のお客さまに集まっていただきました。金銭的支援もありますが、心の支援もいただくことができたイベントです。
ここからは自分も12・24で復帰して『やまいき』のOBになりますので、『やまいきフリマ』の名前を残して、誰か主催していただける方がいたら、その名前を使ってやっていただけたらと思います。2回目は11月5日に群馬の高崎で、前橋にあるプロレスショップ『リングサーチ』さんの主催で開催されました。
その後、名古屋の『スポルティーバ』さんが名乗りを挙げてくれたりして。ケガしないに越したことはないですし、保険に入るのも大事だと思いますけど、ケガしたとき、そういうサポートをするシステムがあれば安心してできていくのかなと。心の支えになるのかなと思います」

――いざ5ヵ月ぶりに試合をするとなると不安はよぎりますか?

「首に負荷をかける運動以外はしていいと言われていて、普通にトレーニングしてましたけど、首への負荷は4ヵ月からと言われてたんで、今やってます。まだ探り探りですけど、12・24までにはしっかり間に合わせます」

ーー復帰戦はアイアンマンヘビーメタル級選手権バトルロイヤルで、大鷲選手らしい復帰の仕方になりますね…。

「まさかの復帰戦がアイアンマンランブル。肉体的疲労より精神的な疲労が大きいであろう試合にいきなりぶち込まれて、手荒い復帰戦になると思ってます」

ーー精神的疲労とはどういった面ですか?

「11・26後楽園で復帰のあいさつをしたとき、『コジ、コジ』と言ってるヤツが突然入ってきたんですけど。私が離れてる間に現れた得体の知れない新手の変なヤツの処理もしなきゃいけないんで、重圧に押し潰されないように。私はバラエティー班長として、そういう試合の整理整頓をする試合をしてきたんで、復帰戦はちゃんと交通整理したいです」

ーー現在ベルトを持ってるのがコジ選手。今林久弥GMに毒霧を吹いたり、読めない動きがあるんですが、彼に対しては手探りで臨まれますか?

「コジに関しては、今林さんに毒霧吹いて。小橋(建太)さんにちょっかいかけて、走って逃げるというメンタルの弱さも垣間見せたんで、コジからベルトを獲るのはたやすいと思うんです。そんなに欲しいわけじゃないんですけど(笑)。ただ公募選手Xも来るんで、混とんとした試合をうまく交通整理したいですね」

ーー復帰して新年を迎えられるのは良かったですよね?

「巡り合わせというか、12月24日は誕生日なんです。今年の誕生日は思い入れ深い日になりそうだなという気はしてます。自分が生まれた日が節目の日になります」

ーー大鷲選手の欠場直前からですが、同じバラエティー班の平田選手が大活躍しています。見ていてどういう思いでしたか?

「平田はしばらく見ない間に飛躍してて、この活躍はこの先10年分くらいの運をすべて使い果たしたくらいの勢いで。EXTREMEのベルトを防衛していって、(11・12)両国もすごかったし。なんなら一番評価したいのは、11・16新宿でのMIKAMI選手との防衛戦です。ビッグマッチが終わったタイミングでも気を抜かず、平田らしさを全面に出せる試合をして、一皮も二皮もむけたんだなって、強く思いました」

ーー当たることが多かったフェロモンズがなくなってしまいましたが、それはやれやれですか?

「毎週のように、飯野のケツに顔を突っ込んでたのがなくなって。それがないと思うとちょっとさびしい気もします。さびしいと思う私が異常なんですけど(笑)。飯野(雄貴)はD王で何かが生まれるのか、目が離せないですね」

ーー男色ディーノ選手とはまた対戦していくと思いますが…

「男色ディーノという存在も、このまま黙ってるわけないんで。果たして、どんな巻き返しを見せて来るのか客観的に期待が高まります」

ーー今ディーノ選手はDEAD OR ALIVE(D・O・A)というユニットに入ってますが、まだまだこんなもんじゃないですか?

「あのユニットは、大石(真翔)さんが生き残るためにつくったユニットのような気がするんです。大石さんがめちゃくちゃ生き急いでる感があって。火野裕士がレギュラー参戦を終えて、Ωが休止のような状態で居場所がなくなるんじゃないかと思いきや、即座に秋山(準)さんと男色ディーノを抱え込んで、D・O・Aという居場所をつくった。そこに大石真翔のすごみを感じました。DDT内が移り変わっていく時期に差し掛かってるのかなというのは欠場期間に思ったんで。その波に乗り遅れないように、自分も復帰して、やることを見つけていこうかなと思います」

ーーバラエティー班長としてももちろんですが、大鷲選手は1年に何度か爆発することがありました。コンディションに問題なければ、また上のベルト獲りを狙うとかもありそうですか?

「私がちゃんとした試合をするのは4年に1回のペースなんで(笑)。私はいつもバラエティー班の人間も懐刀を持ってるという話をしてるんですが、男色さんにしろ、(アントーニオ)本多さんにしろ、平田にしろ、みんな懐刀持ってるんで。みんなやるときはやるんで。それを磨き続けて、やるときはやる男の集まりなんです。そのときが来たら、みんな懐刀抜きますよ。あとはせっかく復帰したからには世界中の有象無象のベルトを集めて周るのも面白いですかね」

ーー来年はやりたいことを見つけながらということになりますか?

「休んでる5ヵ月間は治すことを最優先してきたんで、戻って自分の居場所があるのかどうかとか、そういう部分にさしかかってくるんで。自分はフリーという立場で、生き残りの世界なんで。もうコンディションは完全なんで、12月24日から飛ばしていきたいです」

<写真提供:DDTプロレス>

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