新日本プロレス「闘い初め」1・4東京ドーム大会の総括 今年も「熱狂、絶叫」間違いなし

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

プロレスは面白い。プロレスラーは素晴らしい。改めて思い知らされる新日本プロレスの「闘い初め」1・4東京ドーム大会だった。

第0試合の「KOPW 2024」進出権争奪ニュージャパンランボーに、何と飯塚高史が登場。19年2月に引退後、5年の月日を経てまさかの復活だった。衝撃の「お年玉」に悲鳴と歓声が交錯した。

磨き上げられたムキムキボディに坊主頭はそのまま。タイチから手渡されたアイアンフィンガー・フロム・ヘルを装着して暴れまくる勇姿は、時の流れを微塵も感じさせなかった。

しかも敗退後には、かつての “宿敵” 野上慎平アナウンサーを襲撃。「裸にネクタイ」を再現させると、第0試合から早くもドームに興奮を呼び込んだ。

第1試合からタイトルマッチの豪華ラインアップ。27,422人の大観衆はエキサイトしっぱなし。

NJPW WORLD認定TV選手権試合は、社長に就任した「二刀流」棚橋弘至のホームリング初披露となった。エースの引退カウントダウンが始まってしまうのか、と思いきや「とんでもない」とばかりベルトを奪取。「疲れないから大丈夫」と現役続行をアピールする棚橋「二刀流」社長だった。

タマ・トンガがNEVER無差別級王座に返り咲き、G.o.Dのエル・ファンタズモ、ヒクレオ組がIWGPタッグ、STRONG無差別級タッグの2冠王に輝いた。

髙橋ヒロムとエル・デスペラードのライバル対決はデスペラードが勝利しIWGPジュニアヘビー級王座3度目の戴冠を果たした。

初代IWGP GLOBALヘビー級王者に輝いたデビッド・フィンレーがリングサイドで観戦していた元WWEのニック・ネメス(ドルフ・ジグラー)と、番外戦を展開するサプライズもあった。

オカダ・カズチカは遺恨重なるブライアン・ダニエルソンにリベンジ達成。「いいスタートを切れた。今年もプロレス界を盛り上げていきたい」と、プロレス界の顔らしいコメント。

熱気がピークを達したのはメインイベント。IWGP世界王座をかけた王者・SANADAと挑戦者・内藤哲也の05年から始まった因縁ストーリーが最高潮を迎える。

新日本プロレスの入門テストに落ちたSANADAと合格した内藤。SANADAは武藤敬司の全日本プロレスでレスラー人生を歩み出した。世界のマットを経て新日本プロレスに上陸し、内藤率いるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(L・I・J)入り。同志としてIWGPタッグベルトを巻くなどしたが、昨年3月、SANADAがL・I・Jから脱退した。

その後、SANADAは念願のIWGP世界ヘビー級王者となり、G1を制した内藤と年間最大の舞台で雌雄を決することになった。

二人のヒストリーが交わるまさに運命の大一番は、期待を上回る死闘となった。一歩も譲らない攻防が進み、SANADAがデスティーノ、内藤がデッドフォールと互いの得意技を爆発させた。「こいつにだけは負けたくない」と言わんばかりだったが、25分42秒、デスティーノで内藤がとうとう仕留めた。

内藤の4年越しの夢だった「デ・ハポン」の大合唱と思いきや、HOUSE OF TORTUREのEVILとディック東郷が乱入。内藤からマイクを奪い取り「やらせるか」と言い放った。大ブーイングの中、SANADAが残っていた死力を振り絞ってEVILと東郷を蹴散らす。

下がっていくSANADAに内藤が「グラシアス(ありがとう)SANADA」と感謝の言葉を投げかける。しばらくうつむいていたSANADAが顔を上げると、涙があふれ出ていた。二人のクロスヒストリーはまだまだ続きがありそうだ。

そして内藤の夢だった「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の大合唱が東京ドームの天井を突き破らんばかりに響き渡った。

バックステージで内藤は、大好きな広島カープの本境地・マツダスタジアムでの大会開催そして大合唱を希望し「まだまだ、俺のレスラー生活は続く」と目を見開く得意のポーズを決めた。

ファンに感情移入させるタイプの内藤だが、ドームでさらにファンの心をガッチリつかんだ。今年も大活躍間違いなし。

昨年のMVP男・内藤を中心に今年の新日本プロレスはますます熱くなる。「熱狂、絶叫、イッテンヨン」から熱闘ライブの幕が開いた。

<写真提供:新日本プロレス>

▼柴田惣一のプロレス現在過去未来(バックナンバー)
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