【ジャイアント馬場】伝記絵本『うえをむいてあるこう』2.19発売、親族が込めたメッセージとは?

ジャイアント馬場没25年企画として伝記絵本『うえをむいてあるこう〜ジャイアント馬場、世界をわかせた最初のショーヘイ』が「プロレスの日」2024年2月19日(月)に発売が決定した。

親族である緒方理咲子さん・公俊さんが、ジャイアント馬場さんの偉大なる足跡を後世に残すために巡り合った今回の伝記絵本。

児童文学作家・くすのきしげのりさん書き下ろしのストーリーに、『神田ごくら町職人ばなし』が注目されている若手漫画家・坂上暁仁さんが絵を執筆したこの作品。

今回の出版に対する想い、ジャイアント馬場さんや元子夫人との当時のエピソードなど、親族だからこそ感じた逸話を緒方理咲子さん・公俊さんに語って頂いた。

巻末にはジャイアント馬場秘蔵の写真が入った「ジャイアント馬場写真館」も掲載。

▼作品紹介『うえをむいてあるこう〜ジャイアント馬場、世界をわかせた最初のショーヘイ』
現在アメリカの野球界を熱狂させるスーパースター大谷翔平。坂本九の「上を向いて歩こう」がビルボード・チャートの頂点を極めた今から約60年前。元プロ野球選手だった馬場正平がアメリカのプロレス界を震撼させるスーパースターとなった。今の子どもたちはもちろん、もしかしたらその親世代も知らないかもしれない、もうひとりの「ショーヘイ」の物語。その激動の人生を振り返る。戦後の日本に希望を与えたジャイアント馬場。最後まで伝え続けたメッセージとは? その生涯が絵本となってよみがえります。

帯には”不沈艦”スタン・ハンセン氏の推薦文が掲載。

【スタン・ハンセン氏のメッセージ】
ジャイアントババを知らない若い人たちにも、この物語を読んでほしい。彼は、偉大なプロレスラーであり、すばらしいアスリートだった。日本のスポーツ界で最も有名な人物のひとりだった。ジャイアントババは、決して戦いを諦めなかった。その背中は大きくて、そして誰よりも優しい人だった。この本を手に取れば、そんなジャイアントババに出会うことができるはずだ。

①伝記絵本『うえをむいてあるこう』出版のキッカケ

――本日は株式会社H.J.T.Productionの緒方公俊代表と緒方理咲子さんのお二人にお越し頂きました。まずはお二人のことをご紹介させて頂きます。緒方理咲子さんから見たジャイアント馬場さんは叔父、元子夫人が叔母にあたります。そして緒方公俊さんが理咲子さんの御子息であり、元子夫人から「ジャイアント馬場」さんの著作権管理を譲渡されて現在の株式会社H.J.T.Productionを設立されました。本日はよろしくお願いいたします。

公俊さん よろしくお願いします。

理咲子さん よろしくお願いいたします。

――今回、ジャイアント馬場さんが亡くなられて25年企画として伝記絵本『うえをむいてあるこう〜ジャイアント馬場、世界をわかせた最初のショーヘイ』が、プロレスの日である2月19日に発売が決定しました。早速私も拝見しましたが、馬場さんが歩んできた人生を走馬灯のように駆け巡らせるようなものを絵本の中で知れるというのは、今までの出版物とはまったく違う角度からなので、これは本当にお子様に向けても非常に見やすいものになっているんじゃないかなという風に思いました。その中で改めてこの伝記絵本『うえをむいてあるこう〜ジャイアント馬場、世界をわかせた最初のショーヘイ』出版のキッカケを教えてください。

理咲子さん 出版のきっかけと申しますのは、まず2020年に息子のところに孫ができまして。孫が生まれたな、と。だんだん大きくなるにつれ、グッズとかがあると普通に『じぃじ、じぃじ』と言うわけです。とは言ってもじぃじというのが何者だか全然分からないんだろうなと。2020年の誕生だったのでちょうどまさにコロナ禍であった中、小中学生の心が病んでいくとか、今では小中学生の1番の死因が自殺であるとかというのを耳にすることがあったときに、叔父の生き方を今この子供たちに伝えていくことによって、まさにどんなときでも自分の可能性に向かってチャレンジしていく生き方。語録の中にも「人生はチャレンジだ」と、ジャンボさんの墓碑のところにもありますけれども。それを伝えていくことこそが祖母でもあり姪でもあったところの私しかやれないし、そここそが自分のやっていきたいことということをすごく思いまして。そこから「絵本にしたいのよ、絵本にしたいのよ、絵本で皆様に伝えていきたいのよ」というのを言い続けていました。

――その頃からずっと思っていらっしゃったんですね。

理咲子さん 思っていたんです。それをお伝えしていく中で、いろいろな方と出会わせていただく中で結果的にこういう素晴らしい作品になっているんですけれども。出版のキッカケというのは、やはり孫が誕生して、この子供たちが馬場正平という存在、ジャイアント馬場という存在を絶対的に知らないわけです。それをどう伝えていこうか、というところで、やはり生き様を伝えたいなというのがキッカケです。

――なるほど。やはり絵本になると子供たちにも馬場さんのプロレス界における偉大なる足跡を知らしめるということにもなりますし、それをキッカケにプロレスを好きになってくれたらと思いまして、非常に面白いなと思いました。

 

②絵本へのこだわり・見てほしいポイントなど


※お二人の好きなページ

――今回の伝記絵本『うえをむいてあるこう〜ジャイアント馬場、世界をわかせた最初のショーヘイ』のこだわりや見てほしいポイントはいかがでしょうか。

理咲子さん 絵本だからこそ、ある程度の年齢になると1人で読めるんですけれども、お母さんの膝にのせてまず読んであげるというところで母と子も繋がりますし、だからこそどんなことがあってもチャレンジしていこう、上を向いて歩こうということに繋がるかなと思うんです。叔父の生き方、もしくは叔父から聞いていた話、それから叔父が亡くなったあと叔母から聞いた話。やっぱり馬場家の皆さんって温かいんですよね。本当に馬場正平さん、ショーちゃんのことを大事に思っていらして。早くにお兄様が戦死だったり、お父様が召されても、お姉さま方が弟を思う気持ち。だから何があっても自分は三条のお家があるからチャレンジしていこうという思いになられたんだなというのを、すごく感じてはいたので。ただその中で今、いろいろな意味で忙しくなったり経済的にも大変だから共働きが当然でもあったり。そうすると母と子の接点も少なくなっているので、絵本というところで母と子の1つのきっかけにもなっていただけたらというのがあります。あと東京にいるというのもあるかなと思うんですけれども、『結婚する相手を見つけるのにハイスペックな人を探す』という言葉を耳にしたときに、「スペックで人を見るんだ」というのもあったので。やはりこれからの子供たちが成長していく日本は、私たち昭和30年代前半の生まれたものがこれだけの道幅だったとして、昭和終わりから平成の子供たちはこれくらいの幅になり、令和に出生した子供たちはこれくらいの幅になっているかと思うんです。そのときにタフに生き抜いていくということを、いかにこの絵本を通して伝えたいか。あとやはり大谷翔平さんとかサッカーのいろいろな方々ということにおいて、絵本を手にするお母さまたちってサッカーとか野球とかフィギュア、将棋というものは子供たちにさせたいという職業でもあるかなと思うんですけれど、プロレスラーというのは絶対的にと言っていいほど嫌な職業にもなるかなと。


※写真提供:株式会社H.J.T.Production

――やっぱりお母さんの立場からすると、絶対嫌ですよね。

理咲子さん そうそう。お金儲けできそうにないし、とかね。そういうのがあるので、プロレスというのは自分の人生を生きていく職業の1つでもあるので、生き方。プロレスを通して自分の人生を、コンプレックスになるものも強みに生かしたりというところにもフォーカスしていただけたらいいなという風に思ってはいます。

――この絵本を読んで改めて思い返すと、馬場さんが海外武者修行に行かれた当時のことを考えると、日本人に対する差別みたいなものが極めて厳しい時代を、ヒール、悪党としてリングに立ち続けて、そこで自信と名声を手に入れたと思うんですよね。今の時代と全然違う環境として、フィールドは違いますけど、大谷翔平選手なんかはメジャーリーグで本当のスーパースターで、世界でもナンバー1と言われるくらいのプロ野球選手になりました。当時でいうと馬場さんがプロレス界においては全米で活躍した日本人を代表する選手というところになっていたと思うので。そういった部分も感じてほしいと感じました。ちなみに公俊さんは馬場さんを絵本にしたいという気持ちを伺ったときはどんな思いだったのですか?

公俊さん 絵本というか、私自身は2018年に馬場元子から「ジャイアント馬場」の権利を引き継いでという部分で、今後未来に馬場さんの名前を残していくというのが私の使命、会社の使命というものがあった中で、どういう風にしていけば伝わるかなと。実際、馬場さんが亡くなったのが自分が小6のときなので、すなわち自分より下の人ってなかなか馬場さんを知る機会がなかったと。そういう中でいかに子供に伝えるかということで絵本だったりアニメだったり、そういう形が1番伝わりやすいのかなという部分で、今回絵本というお話をいただいたのはとてもありがたいなと思って。先ほど母も言った通り、親を通して、祖父母を通して、お孫さんとかお子さんに知っていただければなと思っております。

――馬場さんの足跡を知ってもらうというところと、なぜ今のプロレス界があるのかというところにも繋がってくると思うので。大人の50歳過ぎた私がこれを見ても、馬場正平・ジャイアント馬場さんを改めて知るキッカケにもなるので。往年の馬場ファンの皆さん、大人の方にも響くんじゃないかなと思いました。

公俊さん 絵本で絵があるので余計に頭に当時のことをイメージしながら、それはそれで面白いですし。あとは巻末には写真付きの年表も載っていますので、それで振り返ったりする機会があると。大人の方もぜひ、お孫さん、お子さんいるとか関係なしに読んでいただきたいなと思いますね。

――帯でスタン・ハンセンさんも『ジャイアント馬場は決して戦いを諦めなかった。その背中は大きくて、そして誰よりも優しい人だった。』と書かれているように、本当にそのままなんだろうなと思いました。往年の馬場ファンの皆さんにも、改めてジャイアント馬場さんという存在を思い出して頂けたらなと思いました。

➡次ページ(叔父・ジャイアント馬場さんはどんな存在)へ続く

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