【編集長コラム】「レスラーと動体視力」

視線をはずさずに,目の前を動く物体の動きを追い続けられる視力「動体視力」。一流のスポーツ選手、格闘家、ゲーマーは一様に動体視力に優れているという。

元・阪急ブレーブス(現オリックスバファローズ)の盗塁王・福本豊氏は、新幹線で移動中に動体視力を鍛えるトレーニングに取り組んでいた。

駅を通過するときにホームにいる人数を数えたり、一定区間の線路上の電柱を数えたりしたそうだ。その成果か、福本氏の動体視力は常人離れしている。

プロレスラーも超人的な動体視力を誇る者が多いが、“闘う区議”西村修も「世界の盗塁王」福本氏に負けてはいない。

都心では最近、あまり見かけなくなった蠅(ハエ)。特に五月の蝿はうるさい。「うるさい」は漢字で「五月蝿い」と書くように、まるで飛び始めを喜ぶかのように、五月頃には特にブンブン飛び回る。

西村の周りを飛び回る蝿。剣豪・宮本武蔵は箸で蝿を捕まえたというが、西村はパッと素手でつかんでみせた。これには驚いた。

その後、手を開き、蝿を逃がしてやった西村は「放生(ほうじょう)」だと語った。放生とは、捕獲した生き物を野に放ち、命のありがたさを再確認するという供養につながる行為で、江戸時代には放生専門の露天などがあったそうだ。

お客が鳩やすずめなどの小鳥を買い、その場で空へ放つ。功徳を積む行為とされ、競って放生をしていた時代もあったという。現代でも京都や奈良の寺社で、捕まえた蛍を野に放つ「蛍放生」などいう行事がある。

放生をする西村だが、ゴキブリは許せない。普通は蠅叩きで叩くか、殺虫剤を吹きかけたり、中性洗剤をかけたりする。西村は天井や高い壁を這っていたゴキブリに、濡らして丸めた雑巾や古タオルを投げ、一撃の元に退治してみせた。

「いや、近寄りたくないから、なるべく遠くから・・・」と謙遜する西村だが、カサカサとジッとしていないゴキブリに命中させるのだから、やはり動体視力は段違いだ。

西村の目は澄んでいる。瞳も白目もとても美しい。他にもジュニア、ヘビーに関わらす動きが機敏でスピーディーな選手は、みな目が透き通っている。目がきれいな人は動体視力が良いということなのだろうか?

近眼で老眼の記者は眼鏡をかけている。残念ながら動体視力は全然ダメだ。動体視力は訓練すれば少しは上昇するとも聞いた。今からでも遅くないはず。電車に乗ったら、うたた寝せずに、しっかり目を見開き、色々と見極めてみようか。

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