【スターダム ロッシー小川社長×プロレスTODAY山口総監督】<スペシャル対談②>新人発掘、外国人選手招聘、団体エースに求める事、今後の方向性、所属選手へのメッセージ!
【外国人選手の招聘】
山口:外国人選手の招聘というのが他団体と比べても圧倒的に多いと思うのですが。
ロッシー:そうですね、他団体はほぼ呼んでないですからね。
山口:これはロッシーさんのこだわりみたいなのはあるんでしょうか?
ロッシー:こだわりはないんですけど、プロレスだからいろんな国の人が集まって競い合うのがプロレスなのかなとも思うし。でもここに来てWWEとかいろんな影響があって、彼女達はやっぱりあそこに行くのが一番理想だし、そこから声がかかったら試合したいし。そういう意味ではちょっと足かせになってるな。見えないとこでね。
山口:でもWWEに上がっていない選手からすると、スターダムに上がるというのは嬉しいんじゃないですか?
ロッシー:それはあるんですけど、WWEから声がかかったらそっち行きたいじゃないですか。WWE以上の組織ではないので、当然。そこが今、女子プロレスにもWWEも力を入れているから、昔は枠が少なかったけど今は女子に対して枠を広げてるじゃないですか。うーん、だからそれは自分達が育てないと駄目ということですよ、外国人も含めて。
山口:日本のマット界の技術が世界でも1位だって言われてるじゃないですか、そこで鍛えて向こうに上がるという意識を持っている人も多いんですかね?
ロッシー:いやぁそれはないと思いますよ。WWEが一番の夢で、一番のチャレンジだから。そこはスターダムがいいと言ったって規模が違いますよ。だからそれでも我々は、それをくぐりながら選手を見つけてこなくてはいけないしね。
山口:でも本当いい選手を見つけてきますよね。
ロッシー:あのいろんな人が出てきて、何回も呼ばれて来てる人はいい人材だろうし。1回しか来ない人もいるしね。
山口:バイパー選手とか、あれだけ大きくて動ける選手とか、トニー・ストーム選手はビジュアルもいいし動きも素晴らしい選手ですね。
ロッシー:それも日本人と一緒で次々に見つけていかないと駄目ですよね。
山口:外国人選手があれだけ多く出てるというのは、幼少期のプロレスを観たときの面影が強いんですか?
ロッシー:どこかにあると思いますよ。今でも外国人選手は自分が迎えに行ってるんですよね。そこでしかコミュニケーション取る時間もあまりないし。だって来たらわざわざ会って話ををすることもほぼないし。
山口:一緒にご飯を食べに行ったりとかもないんですか?
ロッシー:ないですね。初来日のときは一緒に行ったりもしますけど、入ってしまったらほとんどないですね。なにかの機会があれば行きますけど。なんだろうな、これも常にWWEとのいたちごっこじゃないけど、目の上のたんこぶですね。
山口:新しい選手をひっぱってくるというのは、ロッシーさんメインでやられてるんですか?
ロッシー:いやそうではないですね。
山口:そうなんですね。
ロッシー:うち、外国のスタッフもいるし、あとは人の紹介もあるし。年中売り込みはありますよ。今日もいっぱい来たし。例えばアニメとコラボしたと聞いたら、アニメキャラのこの子どうですかって連絡も来たりするし。
山口:じゃあその中で実力もいけそうな人がいたらという感じですか?
ロッシー:でも俺映像とか観ないんですよ。だって見たってここでやることが大事だから。実際そのとおりに出来ないですもん。
山口:それって1回観て呼んでみようという基準とかってあるんですか?
ロッシー:観た感じじゃないですね(笑)。直感、直感(笑)。あと若さは必要!若さで30%増し。
山口:本当にいい人材が揃ってますよね。
ロッシー:これもだから、常に探して活性化していかないといけない。
山口:あれだけ外国人選手が揃っていると、楽しいですよね。
ロッシー:自分はそう思うんですけどね。今、新日本プロレスがあれだけ豊富に使ってるじゃないですか。新日本プロレスが楽しいなって思うのは、今度6月の大阪城ホールとかって、全部、対外国人じゃないですか?それはここ何ヶ月、何年と外国人選手を育ててきているから出来ることですよね。
山口:いっときは、日本人同士対決じゃないとっていうときもありましたよね。
ロッシー:そうですね、だけどそれだと短期間で出し尽くしちゃうんですよね。やっぱそこで外国人を起用して、僕はそういうことをやりたいなと。
【団体エースに求めること】
山口:では、団体のエースに求めることは何でしょうか?
ロッシー:求めること・・・。それはその団体のスターだという絶対的な気持ちじゃないですかね。行動ね、言動。その選手がスターを体現してくれないと、エースではないし。それは思いが言葉で出るかもしれないし、試合で出るかもしれないし。
山口:やっぱり今で言うとイオ選手が女子プロ界の象徴みたいになってるかと思うんですけど、イオ選手はご自身の努力があったからこそですが、ロッシーさん的にはスターに育て上げるというところで、ここが引っかかったというものはあったのでしょうか?
ロッシー:最初にタイトルを取ったときは苦戦してましたよね。チャンピオンになったけれど、まわりもファンも認めていないというか。自分なりに1個1個積み上げていった結果だと思うんですよね。だからめげずにやることじゃないですかね。それが選ばれたものだから、誰でも選ばれるわけじゃないですから。他にないものがあったから選んだんだろうし。あれはもう5年前なのかな、両国国技館で当時の赤いベルトのチャンピオン、アルファ・フィーメルから高橋奈七永に移って。その前かな、両国をやるって段階で新しいスターが欲しいわけですよ、団体としては。でも本当は白羽の矢が立ったのは、美闘陽子だったんだけど、彼女はその前の年の夏に辞めたんですよ。で、団体生え抜きのスター候補生が初戴冠してっていう絵を描いてたんだけど、そうはいかなくなった。ということで、イオかなとその前の年の秋くらいからずっと頭に描いていて。描いていたけど、すぐ実行には移さなかったですよ、時が来るのを待って。
山口:そのへんがマッチメイカーとしていうかプロデューサーとしていうか、すごいですよね。
ロッシー:そういうことはいっぱいありますよね。そうやって長いスパンで決めてると成功しますよね。
山口:ワインを寝かせて開けるような、楽しみというかプロデューサー冥利につきますね。
ロッシー:だから昨日は渡辺桃がチャンピオンに勝ったけど(取材日は、渡辺桃選手がワンダー・オブ・スターダム初戴冠した翌日)、2月にも1度やってるんですよね。その試合を観たときに、あ、次はチャンピオンは桃だなと直感しましたね。
山口:スイッチが入ったような感じなのでしょうか。
ロッシー:ああもう彼女しかいないんだなと。他にもいるんだけど、今現在は彼女が出てくることがいいんじゃないかなと。
山口:次世代のエースを見せていくためにされていることはあるんですか?
ロッシー:これは入ったときから見てますよ。この子がどういうふうに育っていくか、この子がどうやって上に上がっていくか。その子の言動だったり、評判だったり、いろんなことを聞きながら。自分が常に見れるわけではないから、他の人の話も聞きながら常に機会を見てますよ。
山口:そういうのが一番面白いんじゃないですか?
ロッシー:当たればね(笑)。でもそれは常にね、考えちゃいますよ。練ってるわけじゃなくて、直感かな。なんかそういう感がはたらくって面白いじゃないですか。それが一番のやりがいかな?だからよく松永会長が出来上がったものに関して、全く興味がなかったんですよ。入ってきた子ばっかかわいがっていたんですよ。当時はなんでそんなことしてんのかなって分からなかったんですよ。今いる選手には全く興味を示さずに、まだデビューもしていない子達に興味を持ってたんです。今は自分も分かるような気がします。
山口:面白いですね。
ロッシー:次々に選手を輩出していきたいんですよ、それが止まると団体としても止まってしまうから。でもそれがタイミングを見てますよ、誰にしても。
山口:マッチメイカーとしても腕の見せどころですね。
ロッシー:あとプロレスに納得させるものがないと。
山口:愛川ゆず季選手とかはグラドルでありながら、プロレスで納得させるだけのハートと技量がすごかったなと思います。
ロッシー:彼女はほとんど1回か2回でほぼモノにして。どうすればプロレスはいいって、彼女は分かってたんですよ。
山口:やっぱりある程度すじがよかったんですかね?
ロッシー:感覚。プロレスの感覚ですよ、プロレスの感覚が分からない人は、それがなかなか。
山口:ファンも認めてくれないですよね。
ロッシー:だから時間がかかりますよね、人材を育てるのは。でもエースっていうかスターというものはいきなり出てくるがいいんじゃないですかね。
山口:それが昨日の桃選手だったのかもしれないしということですね?
ロッシー:それはゆくゆく、あれがそうだったのかなとなるし、なんないのかもしれないし。違う人が出てくるかもしれないし。
山口:そうなんですね、でも若いので、とても可能性を感じますよね。
ロッシー:でもそれは一人に固執しているわけじゃないから、団体としては。次の選手、次の選手と。また夏にもデビューさせなきゃいけないから。
山口:じゃあ道場にも練習を見に行ったりするんですか?
ロッシー:いや、ほとんど行かないですね。見ないけど、人の評判って大事じゃないですか。だから選手にも聞きますもん、今あの子どんな感じ?とか。それで情報を得たりはしてますね。
山口:選手が一番お互いを見ているところはありますよね。
ロッシー:この選手間の中で認められることも大事じゃないですか、俺がいきなりこいつだと言っても周りに認められなきゃいけないし、認めさせなきゃいけないし。だから情報はよく聞くんですけど、昨日渡辺桃のことを聞いたらある選手が「もう伸びしろしかない!」って言ってましたよ。
山口:そうですね、そしてベルトを失ったイオ選手や岩谷選手も今後どうなるのか興味があります。
ロッシー:そうだね、岩谷麻優ははっきりしない立場にいるからね。でも彼女は1期生でスターダムの象徴でもあるんですよ、彼女がいなかったらスターダムは全く違ったもの。彼女が残っていることで初期のスターダムのイメージを1人で保ってますね。後はどんどん新陳代謝をしてるからね、ジャングル叫女なんてまだ3年、2年半だっけなデビューして。みんなそうだな、桃も3年くらいか。
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