【大日本】<登坂栄児社長>コロナ禍での興行再開、クラウドファンディング早期達成、企業プロレスによる業界再編について独占インタビュー!

<プロレス業界再編について>


--ひとつ伺いたかったのが、プロレス業界に企業が参加して親会社になったり、団体再編がすごい事になってます。


登坂 サイバーファイトとか。


--サイバーファイトもそうですし、ブシロードグループにスターダムさんが入ったりして、このプロレス界再編を登坂社長はどういうふうに見られてますか。


登坂 企業プロレスですもんね。だから僕らは少なくとも今回はそれをそうではないという道を選択して、クラウドファンディングを行ったというのが実情です。企業プロレス自体は僕もSWSから入ってるので、否定しないです。選手がより良い環境でお客さんがより楽しい、より感激するような演出や、それから環境、それから今で言うとSNS始め動画配信とか映像配信とかそういったもので、より良く、より効果的に見せられるということは素晴らしいことだと思うんで全く否定しないんですけども、僕らはそれとはまたちょっと別な形で、皆さんと直接僕らの考えを伝えられるような環境のまま会社を継続していこうというふうに考えて僕らがやりたいということをお客さんに提示できる。例えば、企業悪いっていう表現では全くないんですけども、いろんな人たちが関わることで、やりたいことが、10やりたかったことが7になってしまったり6になってしまったりっていうことではない形を選択したので、企業団体には少なくともここ一、二年はならないと思います。企業プロレス系と非企業プロレス系にわかれるのか、もしくは企業プロレスと言われてる中で先駆者がブシロードさんがあって、その後にサイバーファイトさんが来られてて、そこの辺りに他の、例えば全日本プロレスさんや、ゼロワンさんや、フリーダムズさんとかが合流していくのか、もしくは非企業系のプロレス団体として、マーケットを維持していくのかっていうのは、慎重にしたいなと。山口社長もご存知の通り、僕らが持つ80年代とかはどっちが強いとか、どっちがすごいとか、やっぱり僕もSWS出身なので、善悪とか強弱っていう部分を評価されてそういうことに焦点が行ってたんですけど、でもファンの皆様が足を引っ張るんではなくて、絶対盛り上げようということで考えてらっしゃると思います。新日本が先行してる規模が大きいからってあそこのパイを食ってやろうとかではなくて、僕らは僕らのところで広げてやろうという気持ちでいるので、みんなが大枠では手を取り合って、それぞれが補えるところを、僕らで言えば例えば町のプロレスや村のイベントにフットワークよく行けるっていうところも含めて、担っていければいいし、世界に発信したり、ごく一般の方にさらにプロレスを広めるっていう部分を、新日本さんはじめ企業の方たちにやっていただくのも良しだと思ってますので。


--これからのプロレス業界がどうなっていくのか、楽しみでもあります。


(※写真:アブドーラ小林選手公式Twitterより)

<アブドーラ小林選手のイメチェンについて>


--あと、アブドーラ小林選手がすごいイメチェンしたと思うんですけど、登坂社長的にはどういう風にとらえられてますか。すごい変わりましたよね(笑)。


登坂 あー、髪の毛ね。


--まさかアブ小さんが髪の毛伸ばして金髪になるなんてっていう(笑)

※デスマッチの戦いは非現実でありながら、痛みの伝わる”戦い”


登坂 まあでも、うちはもともとそういう金のかからないことで何かちょっと変わったことやってるぞっていうのはやってるので、それをやってる、表現してくれてる意味だけだと思うので、あんまり抵抗はないですけど。でも、いいんじゃないですかね、40か41とかだと思うんですけどもだまだ血気盛んで、全然いいと思います本当に。


--あれぐらいのキャリアになってもまだ容姿を変えるっていう選択肢を取ったっていうところが、すごい大冒険、男のロマンを少し感じました(笑)


登坂 そうですね、なかなかできることでもないとは思いますね、それは確かにそう思います。

<SWS時代、WWEレスラーズ>


--あと僕はYouTubeを見るのが好きなんですけど、たまたまSWS時代に天龍さんとホーガンが一騎打ちを東京ドームでやってるのを久しぶりに見たんですね。当時もものすごい興奮しながら見てたんですけど、あの試合で天龍さんもホーガンさんもお互い顔面に張り手かましてるんですよね。


登坂 あー、そうですね。


--なかなかホーガンが張り手するとかって、アメリカのプロレスって張り手あんまり好きじゃないというか、日本のプロレスはヒートアップするためによく使う手法ですけど、アメリカ人あんまり好きじゃないのかなっていう気はするんですけど。あの辺はやっぱり面白いなって久しぶりに見て思ったんですよね。


登坂 僕はその試合のときはまだ社員じゃなかったんですけど、でもその試合見てるんですよ。就職が決まったんで見に行かなきゃと思って行って、それ以外でも例えばリックフレアーとかアンダーテイカーっていうのは、やっぱ一流ですよね。何を求められてるかっていうことをすごくわかってるし、ホーガンさんの場合は猪木さんのところ、新日本でガッと名前があがってアメリカでスターになったっていう部分で、天龍さんと相まみえたときにそれに答えるのが良いのではないかと、瞬時に思ったんじゃないかなあというふうに今話聞いてる分では
思いますね。


--やっぱりWWEのレスラーっていうのは、当時の登坂さんがSWSに入って見たときにはレスラーのオーラみたいなのをやっぱり感じました?


登坂 ああ、でもフレアーはすごいありましたね。


--天龍さんとシングルやりましたよね。


登坂 やりましたね東京体育館で。フレアーは、何かその前の扱い自体がやっぱり他のレスラーとは別格感はありましたね。アンダーテイカーは話題になり始めた頃だったと思うので、みんなが期待感を持って、フレアーさんとは違う。


--ちょっと怪奇派というか、ちょっと少し色物めいた部分がありましたもんね。


登坂 なのでどういうふうにそれを日本のプロレスラーと対峙するんだろうということで、石川敬士さんとか、カブキさんもやってたかな、その辺の日本人レスラーと対戦したのは、覚えてます。お客さんの目はなんとなくそんな感じでしたよね、向こうでショーマン的要素が強いレスラーが、日本の試合内容重視のレスラーと戦ったらどうなるんだろうという部分で見てましたけど、やっぱりそういうのを飲み込んでましたよね。


--彼らはやっぱりうまいですよね。


登坂 ですね。でも反面、例えばキング・ハクさんとかテンタさんとかはやっぱり日本で相撲が長かったのか、全然気さくでしたね。


--そうですか。


登坂 キング・ハクさんは僕みたいな若手でも、若手のスタッフにもすごく愛想良くしてくれる人で。


--日本語喋るんですか。


登坂 僕には片言というか、日本語で、多分できるんじゃないかと思いますね。すごくたのしくコミュニケーション取ってくれたのを覚えてますね。

--当時、夢のような超一流選手がごそっと来てた時代にいらっしゃったんで、すごいなあって。改めて、ホーガン対天龍さんを観ながら、登坂さんこういうところで働いてたんだって思って。


登坂 面白かったですよ。リック・マーテルとか、バーザーカーとか、そういう本当の、例えば向こうでのタイトルマッチをやるその次ぐらいのランクの人たちでも雰囲気持ってたり、大きさ、あとはもうアースクエイクとか。


--大きいですよね。


登坂 タイフーンとか、テンタさんがアースクエイクになって、二人で来たんですよね、大きかったですね。


--リングが揺れてましたよね。


登坂 そうです。それでそんときに、今はもうなくなっちゃったんですけど、その後NOWって団体になったときに譲り受けたリングが、そのとき用のリングだったんです。


--そうなんですか。


登坂 テンタさんとタイフーン選手が来て、体重がそれだけ重くてすごく重量のある技をするっていうので、普通の外にはめる鉄枠を8本、増やしたと。


--二人のために(笑)


登坂 二人のために増やしたリングを作ったりしてました。東京ドームで使ったのは、普通のリングで高いんですよね。それをちょっと切ったりしたような…それは後々ですかね、聞きました。東京ドームのときは見栄えするように、通常90センチから100センチぐらいのリング上までのやつをもう少し高くしたって聞きました。


--そうなんですね。すいません、ちょっと全然余計な話だったんですけども。


登坂 いやいや全然。思い出す度にも、懐かしいというか、本当にだって楽しいのはやっぱり地方の、まぁ地方と言っても県庁所在地ぐらいの青森とかでやってるんですけど、いわゆる体育館っていうところの裏側にリック・マーテルが立ってるよなんかオイル塗ってるわとか(笑)、でも、スーパースターっていってもあの頃はどうでしょう、WWFがあそこまで華やかになる前の、AWAとかで活躍されてた方がいて、地方をサーキットされてたんで何か不満を言うとかなかったですね。ホテルの不満だとか、車の移動がどうだとか、何で俺は飛行機じゃないんだとかそういうの全然ないんです。


--割とそのローカルの過ごし方を、楽しみ方を


登坂 ご存知だったんじゃないですかね。もちろんホーガンさんとかは別便でビッグマッチしか来てないんであれですけど、でもサベージさんとかは多分ちょっと小さい小田原の体育館とか来てたような気がしますね。


--あのサベージが。


登坂 どうだったかな、WWAとかぶってるかもしれない。ちょっと来てましたね。


--そうなんですか。あのウォリアーズ、リージョン・オブ・ドゥーム自体が、アニマル・ホークがホーガンとやるのにものすごい緊張したっていうのが。


登坂 天龍・ホーガン組ですよね。


--後日、本で見て。あのアニマル・ホークでもそのホーガンに対戦するのはそんなに緊張するんだ、と思ってですね、改めて震えました。


登坂 僕は多分ウォリアーズさんとは会ってないんですけど、皆さんいいリスペクトはそれぞれ持たれてましたよね、選手間でも。デイビーボーイ・スミスとかも来てるんですよね。確かブリティッシュ・ブルドッグスが来てるはずなんで、皆さんなんかいい感じでしたね。

<企業プロレス>


--いわゆる企業プロレスの走りっていうところは、ある意味ご経験されてらっしゃるので、大変な時代だったとも思いますけど。


登坂 でも、あれがあったんで、あのときは僕は下っ端ですけど、今こういう風に経験積んで、そのリングの中をすごく企業側が介入してしまった。してしまったというか、今はその経験があるから、ブシロードさんもサイバーさんもリングの外側をビジネスとしてアプローチしてくるけれど、リングの中はある程度選手たちに任せてるっていうのはSWSの失敗とは言わないですけど、経験があって、そうじゃないんだっていう。リングの中はある程度任せて、外側をハードの部分とか、演出だとか広告だとかを企業側が持ってる経験でやればっていうのは多分SWSがあったからだと思ってますけどね。


--そうですよね。何か振り返ってみても、SWS時代のすごさっていうのはいろいろと本にもなったりしながら見てるとすごい時代だったんだなと思いますよね。


登坂 もちろん。


--登坂さんからすると、週プロってその当時は。


登坂 普通に読んでましたよ。全然読んでました。


--嫌悪感みたいなのは。


登坂 なかったんですよ。それは全然なかった。ただ、選手はね、天龍さんは特にどう思ってたかはわからないですね。


--そうですよね。


登坂 情報量も多かったので、買ってましたねコンビニで。


--社内で週プロが禁句ワードになったりとかは。


登坂 ないですね。元々、その後、分離したNOWというところにきたくらぼりさんって方は、週刊プロレスの記者だった方が就職、SWSに転職されて広報やられてたこともあって、決してその現場でギスギスしてた感じはなかったですけど田中社長や天龍さんは全然違ったかもしれないですね。感覚が。


--そうなんですね、いやぁ、色々とお話を聞かせて頂き有難うございました。


登坂 これからも大日本プロレスを宜しくお願いします。


<インタビュアー:プロレスTODAY総監督 山口義徳>

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