葛西純vsエル・デスペラードが見せつけた凄まじい死闘!葛西が語りかけた言葉の重み<タカタイチデスペマニア>

9月12日(月)、東京・国立代々木競技場 第二体育館で開催された『TAKAみちのく30周年記念大会~タカタイチデスペマニア』のメインで行われた葛西純(FREEDOMS)とエル・デスペラード(新日本プロレス)のスペシャルシングルマッチの余韻が覚めない。

あれだけの死闘を展開した両者の覚悟をこの日来場した観衆は忘れる事はないだろう。

それだけ葛西純とエル・デスペラードの戦いは人を引き付ける程のインパクトがあった。

振り返れば両者の因縁は、2019年5月に開催された『タカタイチマニア2』でシングルマッチで対戦し、結果はノーコンテストであったがデスペラードは顎を骨折。

そんな因縁の両者が今年の5月に『タカタイチマニア2.5』で3年ぶりにタッグで対戦し、葛西組が勝利。

今回は決着戦の舞台が用意され、この一戦はレフェリーが特に危険とみなさない場合を除きいわゆる凶器使用何でもありのルールとして、カミソリ、ハサミ、ノコギリ、有刺鉄線ボードなどを利用した“ノーDQデスマッチ”として行われた。

デスペが入場すると白を基調としたコスチュームに身を纏い、葛西の入場を待つ。

そして同じく白を基調とした葛西が登場すると場内は大興奮状態に。

二人がリングインするとデスマッチアイテムが揃い、緊迫感が満ちていよいよ運命のゴングが鳴った。

先に仕掛けた葛西は有刺鉄線でデスペのマスクを引き裂き、流血に追い込む。

タフなデスペにデスマッチアイテムで多彩な攻撃を見せつける葛西が試合をリードしていくが、随所でデスペもデスマッチアイテムで応戦。

気力も体力も限界近くになっていく両者の光景に観衆は引き込まれ“声出しOK”の大会で場内は大熱狂と化していた。

結果は粘る葛西をデスペが垂直落下式リバースタイガードライバーからのピンチェ・ロコを炸裂させて23分30秒の死闘に終止符を打った。

そして試合後のリング上でドラマがあった。

<試合結果>

▼第7試合
スペシャルシングルマッチ
エル・デスペラード 〇
vs
葛西 純 ×
23分30秒  垂直落下式リバースタイガードライバーからのピンチェ・ロコ→体固め

試合後、リング上でデスペラードが葛西に「葛西さん、有難うございました。」と礼を述べると、

葛西からの返答が「デスペよ、こちらこそ有難うございました。お前みてぇなよ、スゲー強え奴と、この会場でメイン張れて、オレッちはうれしいよ。しかしな!お前に、最高にいい男のお前に、一つだけ言いたいことがある。」

葛西「お前よ、オレっちと試合する前に、こう言ってたな。燃え尽きて、死んでもいい覚悟でリングに上がるってよ。バカヤロー、世の中にはよ、死にたくて死ぬヤツなんていねえんだよ、お前。生きていてぇのに、死ななきゃいけねえ奴、生きていたいのに、死んじまう奴がゴマンといるんだよ!お前みたいによ、最高の仲間に囲まれて、たくさんのファンに応援されて、夢だった新日本プロレスに入門して、プロレスラーとしてデビューして、新日ジュニアのトップ取って、最高の人生送ってる奴がよ、死んでもいい覚悟でリングに上がるなんて言うなよ、お前!」

葛西「オレたちはよ、死んでもおかしくねえ、大きなケガしてもおかしくねえリングに上がって、生きて、生きて、生きてリングを下りなきゃいけないだろうが!死んでもいい覚悟なんて、捨ててしまえ。死んでもいい覚悟なんていらねえんだよ!そうすれば、お前はもっと強くなる。」

これを聞いたデスペラードが葛西に対し「有難うございます。有難うございます。二度と死んでもいいなんてとか、死ぬ気でとか死ぬ覚悟とか、軽々しく口にしません。自分はまた必ずリングに上がって、何試合も重ねてこないだ一回約束破っちまったけど『SUPER Jr.』も必ず優勝して、ベルト持ったまんま、葛西さんともう一回やります。ちょっと、いま出すとこないだみたいにチープに写っちまうかもしれねえけど、これこないだ頂いたバラなんすよ。初めて作ったドライフラワーなんで、下手っぴかもしんないですけど、もらってやってください。」

■試合後バックステージコメント

葛西「父ちゃん、負けちゃった。ゴメンな。齢48歳になった男が、負けて悔し泣きしてるってことはよぉ、この涙の意味、分かるか? お前ら。デスペっていう最高の男とやれて、感極まって泣いてんじゃねぇぞ。負けて悔しくて泣いてんだよ! この涙があれば、もっと強くなれるってことだよ。葛西純は48歳になっても、まだまだ強くなるぞ! 葛西純の全盛期は10年後だ。まだまだ強くなって、まだまだ強くなって生き抜いて、生きて生きて生き抜いて、強くなって、またデスペラードとやるよ。今日が終わりじゃねぇ。今日が始まりだ」

デスペラード「葛西さんのおっしゃる通りでした。自分、ニュースの保育園のヤツとかで、ここ最近けっこうやられて、精神的にけっこうきちゃってて、もう家で1人でいてもぶっ壊れそうだったんすよ。やっぱこう、試合に向かうモチベーションと、趣味のゲームとかやってる時だけ、自分が保てて、何とか。この試合がなかったら俺、ホントに、頭おかしくなるぐらい、心やられてて。それなのに、コメントで軽々しく『死んでもいい』とか、まだ俺そんなレベルだったかと、驚きました。自分の幼稚さに驚きました。また必ず、ちゃんと成長して、ちゃんと体も心も鍛えて、もう一回必ず、強くなってまた必ず葛西さんとやらせていただきます。有難うございました。」

大会を終えて、葛西は自身のTwitterで「タカタイチデスペマニア終了。死愛には負けたが 戦前『死んでも良い覚悟で』 と言っていたデスペの心を折ってやった とりま有言実行 負けて悔し泣き この涙があれば、葛西純はまだまだ強くなれる 全盛期は10年後 デスペ お互い今よりも強くなって、またリングで会おう 今日も生きる」とツイート。

 

同じくデスペラードも試合後、自身のTwitterで「見事にぶっ生き返されました 心はぶち折られました 折られてよかった 俺はまたここから生きて 成長して また必ず葛西さんと試合させてもらいます ありがとうございました」とツイート。

 

試合後、SNSでも両者の戦いは絶賛され、Twitterでは試合2日後に「#タカタイチデスペ後」がトレンド入りした。

▼ユーザーコメント(部分抜粋)

・ある意味プロレスの見方を変えさせられた試合だと思う。

・試合後のお2人のマイクを観てしまって泣きました。

・何回観ても泣くやろな。2人とも最狂‼︎‼︎

・葛西さんのマイクで泣きました。

・プロレス好きでよかったとしみじみ思えました。

・感動だらけです。

・プロレスから生きる活力をいただきました

・勇気を貰いました。

多くの人々の心を揺さぶった両者の戦いに観衆は驚嘆し、試合後の葛西の言葉が共感を呼び、そして感動した。

人々を魅了するカリスマ葛西純というレスラーにデスペラードも尊敬の念を示し、ここまでの舞台に仕上げてきた両者に魅了された。

葛西純vsエル・デスペラードが見せつけた凄まじい死闘、とてつもなく凄くて素晴らしい一戦であった。

葛西が語る言葉には多くの思いが込められている。

「オレたちはよ、死んでもおかしくねえ、大きなケガしてもおかしくねえリングに上がって、生きて、生きて、生きてリングを下りなきゃいけないだろうが!死んでもいい覚悟なんて、捨ててしまえ。死んでもいい覚悟なんていらねえんだよ!そうすれば、お前はもっと強くなる。」

危険と隣り合わせのプロレスラーという職業、そして自身がより危険度の高いデスマッチを主にしているが故、「生きてリングを降りる覚悟」を口にした葛西純の言葉はとてつもなく重い。

<プロレスTODAY総監督:山口義徳>

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