花穂ノ利「怖いもの知らず」で入門、3年のブランクを経てシードリング新風景の中心へ!
“魂の女子プロレス”を標榜するSEAdLINNNG(シードリング)が、大きく変わりつつある。これまでは団体のテーマを理解する他団体やフリーの選手たちが中心を担ってきたが、このところ団体の将来を担うであろう若手選手が続々と増えているのだ。
一昨年4月、光芽ミリアのデビューを皮切りに、12月に3年のブランクを経て花穂ノ利(はな・ほのり)がカムバックを果たした。昨年には風南(ふうな)ユキ、望天(みそら)セレネが加わり、次回2・10新宿では練習生のプロデビューが決定。これにより、若手の所属選手が5人に。過去には考えられないくらいの充実ぶりだ。

写真提供:SEAdLINNNG
となれば、今後のシードリングではよりいっそう外部の主力選手vs所属の若手という図式が基本レイアウトになってくるだろう。若手の成長をリアルタイムで体感するのは女子プロレスを見る醍醐味。新人、若手が団体の看板を背負いジャンルを代表する主力選手の壁にぶつかっていく。この風景がシードリングの新しいカラーだ。
今回紹介する花穂ノ利は、現社長・南月たいようの現役時代、彼女の試合を見てプロレスの虜になった。小学生のとき父に誘われ、弟と3人で観戦に出かけたのだ。当時の南月は夏樹☆たいようのリングネームでスターダム所属。そのスピードに魅了され、自分でもやってみたいと思ったという。その後何回も生観戦、夏樹の引退試合も見に行った。そして18歳のとき、南月のいるシードリングに入門。しかし当時から所属選手は少なく、若手は誰もいない状況だった。

「シードリングにいったのは、南月さんがいたからです。プロレス楽しそうだなっていう思いだけで、怖い世界かもとか何も考えずに入りました。シードリングがどういう団体か知らなくて、見たこともなかったです。入ってから『怖いもの知らず』とよく言われましたね(苦笑)」
実際、練習は厳しかった。また、まわりに同世代がいなかったこともあり、相談相手もいなかった。「(心身ともに)きつかったです。何度も逃げ出しそうになりました」と、穂ノ利。そんな彼女を救ったのは、ファンの声や家族の支えだった。
「私を練習生と知ったファンの方が『頑張ってね』と声をかけてれたり、お母さんが応援してくれたのも励みになりましたね。なので、お母さんにデビューした姿を見せたいと思って頑張りました。お父さんですか? 最初にプロレスに誘ってくれたんですけど、レスラーになると言ったら最初は『う~ん』って感じで…。でも、やると決めたからには応援してくれています」
入門から約1年半後の2019年12・23後楽園ホール。生え抜き第1号としてリングに上がったデビュー戦には、練習をはじめ、すべてを見てくれた中島安里紗を指名した。そこで感謝の気持ちを表すつもりだったが、試合での中島は当然、容赦しない。ここで穂ノ利はプロレスの怖さを知ることになったという。

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「最後の方は喉を潰されて声が出ませんでした。ボコボコにされて、プロレスの怖さを思い知らされましたね。上に行きたい気持ちとビビってる自分がいて。怖いもの知らずだった自分がいなくなってしまいました」
とはいえ、経験を積むうちに結果も伴ってくるようになる。1年近くかかったものの、20年12・9新木場で自力初勝利。タッグパートナー中島の前で、他団体のトトロさつきからピンフォールを奪ってみせた。その約1カ月後には、トトロからの連勝でシングル初勝利。翌月には飯田沙耶が保持するスターダムのフューチャー王座に挑み、タイトル初挑戦。1週間後には海樹リコを破り、ホームリングでのシングル初勝利も達成した。さらにはシードリングのタッグ王座にもチャレンジし、将来が嘱望されたのだが…。

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新型コロナウイルスに感染し、ホテル療養も強いられた。これがきっかけで持病が悪化し、やむなくプロレスから離れることに。引退後は、通院しながら介護の仕事に従事していたという。
「仕事は3年くらいやりましたね。プロレスの方は見るのもイヤになってしまって、完全に離れていました。ツイッターとかで自然に入ってくるものは目にしてましたけど。ただ、1、2年くらい経つとあきらめきれない自分に気づくんですよ。そこからちょっとだけ見ることもありました」

穂ノ利が復帰を決意したのには大きなきっかけがあった。それは、中島の引退だ。しかし団体に伝えることもなく、母と一緒にひとりのファンとして客席から試合を見つめる立場だった。そのときは中島の引退を見届けたいとの思いがすべて。ところが、このとき穂ノ利が抱いた感情は…。
「オープニングでシードリングの曲がかかったときに感極まってしまって。その後、ミリアが試合している姿とか、若い子がセコンドについている姿を見て、そこにいない自分がすごく悔しいと思ってしまったんですね。やっぱりあきらめきれないなって…」














