『ブルーザー・ブロディ30年目の帰還』<斎藤文彦氏インタビュー②>世界に衝撃を与えた刺殺事件から30年!不世出のレスラーの知られざる人生を著者が語る

プロレスライターであり多数のプロレス関連本の著者である斎藤文彦氏が今回、ビジネス社から『ブルーザー・ブロディ30年目の帰還』を刊行。

超獣、キングコング、インテリジェント・モンスターと呼ばれ、全米ではNWAをはじめ各団体で実績を築き、日本でも全日本プロレスや新日本プロレスでトップ外国人レスラーの一人として活躍したブルーザー・ブロディ(本名フランク・グーディッシュ)の死去から30年!

不世出のレスラーの知られざる人生を著者に語って頂きました。(パート②)

【ブロディとザ・ファンクス】

–ファンク道場でトレーニングしてるときとかってかぶってる時期とかってあったんでしょうか?

斎藤:あ、ブロディは1974年にダラスでデビューしたのでかぶってないですね。ジャンボ鶴田さんとハンセンとはアマリロでかぶってるんですけど、ブロディはかぶってないですね。テリー・ファンクとはレスラーになる前から親しかったみたいですね。
テリー・ファンクが考えたゲームがあって、アメリカで自動車がこう数珠繋ぎに駐車してるじゃないですか道路に。
その車の上を1回も地面に落ちずに、ワンブロック走っていくっていう競争があるらしいんですよ。車の上をですよ、屋根がへこむでしょ。

–無茶苦茶ですね、しかもあんなでかい人達が。

斎藤:数珠繋ぎに車が駐車してあって、ワンブロックからワンブロック、1回も地面に落ちずに車の上からボンネットの上だけを走り続けて競争するっていう、テリー・ファンクが考えたらしいんですけど。そのゲームでブロディとテリー・ファンクが強かったらしいんですよ。

–もうテリーは昔からヤンチャなんですね。

斎藤:ブロディとテリー・ファンクが道路に停めてある車の上を走るんでしょ、へこむでしょ。あのブロディがはしゃいじゃって、そのゲームが好きだったって言ってましたね。ヘビー級のフットボール選手が走るんでしょ、他人様の車の屋根の上を。ワンブロックも走るんですよ、そのまま。まぁテリー・ファンクが考えたゲームなんですけどね。

–ドリーは絶対参加しなそうですね(笑)。

斎藤:やらなそうですね(笑)。ブロディはテリーとは親しかったと思うんですよ。ドリーはちょっと上に感じてるというか。ドリーのプロレスは好きだったらしいんですよ。80年代前半、インター王座を争っていたころが実は一番楽しい時代だったみたいなんですね。
全日本プロレスでインター王座が復活ってときに、ブロディがドリーとばっかりやってた時期が2年くらいあるんですけど、ドリーとのシングルマッチはすっごい好きだったらしいんですよね。
もったりした70年代スタイルんなんだけど、ゆっくり斜めにというか、チェスというか、詰め将棋のような理詰めのプロレスがドリーらしくて好きだったらしいんですよね。しかもドリーは1時間戦おうが何試合しようが、ケロッとしてるっていって、あいつのスタミナすげーっていって。

–そうなんですね。

斎藤:ドリーのプロレスをリスペクトしていたみたいですね。友達という感情を持っていたのは、テリーのほうみたいなんですよ。日本ではそれをタブーにして、ちょうど新日本プロレスがタイガーマスク全盛で大ブームだったころ。全日本プロレスでは引退1年くらい前の、テリーの全盛期ですよ。
テリー・ファンク対ブロディを割とひんぱんにやってるんですよ。その当時だったら、やっぱり新日本、タイガーマスク、長州、藤波のほうが人気があったと思うんですよ。
その時代は相当のマニアじゃないとテリー・ファンク対ブロディ、スルーしてた人も多いと思うんですよね。でもその時代がとってもハッピーな思い出らしいんですね、ブロディの中では。

–やっぱりレスラーとしてステップアップして、完成しつつあったという感じですかね。

斎藤:ドリーと思う存分できるし、テリーともできるってことで。だから、全日本のほうが住みやすい、暮らしやすい団体だったらしいんですよ。

–やっぱり外国人レスラーからみて、スポットをあてていっているという意味では全日本なんでしょうか。

斎藤:シリーズ中の巡業でもこの人にこれと伝えれば、すぐ返事が返ってくるっていうのはあったでしょうね。レフェリーのジョー樋口さんに言えばすぐに返事が返ってくるだとか。
百田義浩さんに言っとけば、すぐ分かるだとか。連絡系統が外国人選手にすぐ伝わりやすい。それが新日本に行ったら、なんか風通しが悪かったらしいんです。
誰に言えばいいの?坂口さんに言えばいいの?って。メッセージが首脳部まで届かない。リクエストしようが何しようが。

–ミスター高橋さんとか。

斎藤:親しくならなかったのでしょう。

–そういうことも含めて全日本が肌に合ったというわけですね。

斎藤:これは裏が取れないので、だれの発言が正しかったのかわからないんだけど、ブロディがテキサス州ダラスのワールドクラスと新日本の提携の話まとめたとされています。それでケビンとケリーのエリック兄弟、新日本にいきなり来るじゃないですか。
あれは俺が話をつけてやったのにっていうのがあったらしいんですよ。当時はそれがボーナスになるはずだったのに、待てど暮らせど新日本フロントは何も言ってこないって。

 

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