【編集長コラム】「クールに熱い男」鈴木秀樹がパワー充電

「和製人間風車」鈴木秀樹が新たな道に踏み出そうとしている。

大日本プロレス12・9福岡・博多スターレーン大会で、鈴木はアブドーラ・小林、宇藤純久と「小林軍団」を結成し、横浜ショッピングストリート(YSS)6人タッグ王者「3代目血みどろブラザーズ」高橋匡哉、植木崇行、佐久田俊行組に挑戦する。

デスマッチファイターが勢ぞろいするリングに「ストロングの権化」鈴木が一人、加わるのだが「試合のルールが決まれば、それに従う」と、珍しく素直そのもの。

鈴木は大日本プロレスのストロングBJ部門の頂点「BJW認定世界ストロングヘビー級王座」に、2017年に9か月、今年も7か月に渡って君臨。二度の王座戴冠で計10回の防衛を果たすなど、フリー戦士として「大日本のストロング」の看板を背負ってきた。

他団体でも、亡きビル・ロビンソンさん譲りのダブルアームスープレックスを駆使。トラディショナルなファイトスタイルを披露し、一目置かれている。

時には、女子プロレスのリングで大暴れするなど、枠をはみ出した言動で物議をかもすことはあっても、デスマッチとは一線を画してきた。

先の大日本プロレス11・11両国大会のメインイベントを巡っても、デスマッチ王者とやりあうなど「ストロング」にこだわってきた。人一倍、プライドを持つ男ぶりを存分に発揮してきた。

ところが、ここにきて「大日本はデスマッチの団体」と、これまた素直に口にする。ここ数年、主戦場にしてきた大日本マットは、ストロング戦士とデスマッチファイターが、しのぎを削りあっているが、鈴木はデスマッチファイターの心意気、向上心に感心したという。

「ストロング戦士は、僕が仕掛けると、乗ってくる。全員がそうだとは言わないけど、そこまでどまり。その先、継続しない。ベルトを失った僕が言うのは、不遜なことは十分に承知しているけど、もっともっと、できるのに勿体ない」と、指摘する。

一方のデスマッチファイターは「ベテランの人たちも、中堅選手も、若い人たちも常に上を向いている。だからデスマッチ部門は、熱い」と、分析する。

12・9博多決戦のYSS6人タッグマッチは、デスマッチルールが採用させる公算が強い。「王者組は当然、自分たちの得意とする土俵に持ち込もうとするはず。こちらは、小林さんはもちろん大丈夫だし、宇藤選手もデスマッチファイターとして急成長している。問題は僕だろう。狙われるかもしれないけど、受けて立つ。逃げる気はない」と、言ってのけた。

普通なら、ストロング王座から陥落したことで、しょぼくれてしまいかねないが、この男はやはり、一味違った。

鈴木がデスマッチ部門に本格的に参入となれば、大日本プロレスの勢力図は一変しかねない。他団体に出陣する際にも、新たな抗争がぼっ発するに違いない。

「まだ、自分の気持ちははっきりしない」と、鈴木は言葉を濁す。12・9博多大会のリング上で、決断することになるのだろう。

リング上では冷酷ともいえるクールなファイトを展開するが、プロレスへの思いや情熱は熱い。

「クールに熱い男」がデスマッチと、どう関わっていくのか? いずれにせよ、鈴木秀樹からますます目が離せない。

※極上の和牛肉に食らいつき、英気を養う鈴木(熟成和牛焼肉「丸喜」浦和店で)

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