【編集長コラム】「追悼 青木篤志さん」

世界ジュニアヘビー級王者・青木篤志さんが3日、交通事故で亡くなった。突然の訃報にマット界には深い哀しみが広がっている。

青木さんは高校生の時からアマレスで活躍し、自衛隊時代にもタイトルを獲得。ノアに入門し、全日本プロレスに移籍して大暴れした。ジュニア王座を次々と腰に巻き、ヘビー級の猛者が集うチャンピオン・カーニバルに参戦するなど、まさに「ジュニアの重鎮」だった。

若手選手の指導にも優れ、その厳しさは評判だった。「鬼コーチ」という言葉が青木さんの周囲から、よく漏れ聞こえてきたものだ。

しかし、人に厳しいだけではなく自分にも厳しかった。激闘の後遺症であちこち痛めていたであろうに、一度も欠場していないのだから立派。

3000試合連続出場の故ジャイアント馬場さんが「無事是名馬」と称せられたが「試合に穴を開けてはならない」というプロフェッショナルな姿勢には頭が下がる。

学校の先生に聞いたことがある。「厳しい指導をしないのは、生徒がかわいいのではなく自分がかわいいからだ」という。

厳しく接すれば、生徒は反発し、煙たがられる。「自分がかわいいから、嫌われたくないから、優しくする先生も多いですよ」というのだ。

それは家庭の躾でも、会社の上司にでも言えることだろう。甘やかすだけが愛情ではない。たとえ反発されても、相手のためを思って厳しく指導するのは、青木さんを見て「こういうことなのか」と、思ったことがある。

とはいえ、厳しいだけの人ではない。以前に、サンリオの展示会でお会いしたことがある。一人で来場していた青木さんは、いろいろなキャラクターの展示に相好を崩し、熱心に見入っていた。

着ぐるみが近寄って来た時には、遠慮がちに、しかし嬉しそうにハイタッチしていた。

そのギャップに驚いたが、来場者に「青木さんですか?」と声をかけられると、キリッとした表情で、背筋を伸ばし丁寧に応対していた。

自衛隊出身らしく「戦車も運転したことがある」と、ちょっと得意げだった。自動車の運転は慎重で、同乗者の安全をすべてに優先していた。単身でのバイク事故。残念で仕方がない。

厳しくも温かい心も持っていた青木さん。だからこそ、他団体のレスラーにも慕われていたのだろう。

あまりにも早い。あまりにも急な死に言葉もない。きっと星の窓を開けて、全日本プロレスを見守ってくれることでしょう。

安らかに。  合掌。

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